人類の歴史の中で誰も経験したことのないほどのスーパー・ヘルスを獲得できるかもしれない。

少なくとも自分自身にとっての最高の健康状態、つまりオプティマル・ヘルスを享受するチャンスは誰にでも与えられているはずである。

栄養学の新しい発見には、その可能性を示唆するに十分なものがある」 

ビタミンE 効果と生理作用 *老化の最悪の症状である動脈硬化の防止 *心臓病の予防 *免疫力の回復 *ガンの予防 *脳と血液の老化防止ビタミンEは体内でどのように作用するのか?

ビタミンEが老化防止のビタミンEといわれるのは強い抗酸化力を持っているからである。しかも脂 溶性ビタミンなので、体内の脂肪分の多いところで効果をもたらす。特に脳、動脈、免疫システムの機能 低下には効果がある。脳と免疫細胞の膜には脂肪が多く含まれて、動脈は脂肪のダメージにもろいので ある。脳や血中の脂肪がフリーラジカルによって酸化することで、機能障害を起こし、組織の高齢化を早めることになる。このフリーラジカルの連鎖攻撃をビタミンEは消滅させる。

フリーラジカルとは何か

フリーラジカルというのは、一つの電子が欠けてしまって、化学的な構造が不安定になり、反応しやす くなっている分子のことで、呼吸や体内でのエネルギー代謝、また紫外線、光化学スモッグ、喫煙などと いう外的な影響で自然に体内に出てきてしまう分子のことである。フリーラジカルの中にもいろいろなタイプのものがあり、最も有害とされているのが活性酸素である。

このフリーラジカルは、欠けてしまった電子を求めて、安定した分子を攻撃し、電子を奪い取ってしまう。そうすると健康であった分子が不安定になり、フリーラジカルとなって、また健康な分子を攻撃する。

このように、フリーラジカルの反応は早いスピードで連鎖的に起こる。そして、不健康で不安定な分子が増えて体内の組織や細胞を破壊し、病 気を引き起こす元凶になっている。

このフリージカルな反応を防いでくれるのが抗酸化物質なのである。 

動脈硬化はなぜ起こるのか

動脈硬化についての最も新しい考え方は、フリーラジカルの攻撃によって悪玉コレステロールのLD Lが酸化され、有害な酸化LDLに変化することによって起こるというものである。

もし、LDLコレス テロールが酸化されなければ、動脈硬化の引き金になる悪玉コレステロールの動脈壁への浸透は起きない。

このようにLDLコレステロールの酸化を防ぐことができれば動脈硬化は起きない。この酸化物の 役割を果すのがビタミンEサプリメントである。ビタミンEは他のどの抗酸化ビタミンよりも効果がある。LDLコレステロール分子に入り込んで酸化を防ぎ、冠状動脈疾患の元を断つことができる。

それには1日最低400NのビタミンEサプリメントを摂取することが勧められている。

ガン予防の研究

最近の研究報告によると、アイオワ州の防歳以下の女性3万5000人のうちサプリメントとしてビタミンEを多めに摂取している人は、結腸ガンになる確率が68%低かった。この研究により血中のビタミンE含有率が低い場合、あらゆる種類のガンにかかる率が50%高いという結論を出している。 

また、エール大学の研究では、たばこを吸わない人ではビタミンEサプリメントの摂取により肺ガン のリスクを半分に減らすことも分かっている。 

このようなビタミンEの抗ガン作用は、ビタミンEの免疫力向上によるところが大きいと考えられて いるが、ビタミンEがガン細胞の成長を直接妨げるという新しい研究報告もある。

免疫力との関係についての研究

アメリカのタフツ大学のメイダニ博士の研究によると、60歳以上の人が1日400IU、または800 IUのビタミンEサプリメントを摂取すると、年齢と共に衰えていた免疫力が若者と同じくらいのレベル まで向上したという。

感染を撃退する白血球の増加といった免疫機能は30日以内で10~15%向上してい た。その他の免疫機能では80~90%も向上したものもあった。メイダニ博士によると、免疫細胞の膜組織の脂肪がフリーラジカルによって酸化するのをビタミンE が防ぐという。

このような細胞は、フリーラジカルのダメージに特に弱い。免疫機能を回復するには高齢者は通常量をはるかに上回ったビタミンEの摂取が必要だと報告している。

脳の老化との関係

脳細胞がフリーラジカルによってダメージを受け続けると、リポフスチンという老化色素が増えていく。この色素沈着が脳機能を低下させる原因の一つになっている。

高齢者がビタミンEを摂取することにより、このリポフスチンの沈着が大幅に減少することが報告されている。さらに重要なことは、脳の血流もビタミンEの摂取により良くなることが分かっている。

アルツハイマーなどのような老人性痴呆もビタミンEは抑制できると主張する科学者も多い。 食物でビタミンEを摂るというナンセンスビタミンEは脂溶性なので、植物性油(大豆油、ひまわり油、コーン油)やナッツ、種子、小麦胚芽といっ た脂肪性植物に多く含まれている。

しかし、老化防止効果を得るためにビタミンEを摂ろうというなら、 実際のところ食物からだけでは無理だ。

食べ物から400IU(サプリメント1粒に通常含まれている量) ビタミンEを摂ろうとすると、コーン油なら2リットル、小麦胚芽は2キログラム以上、アーモンドで8 カップ、ピーナッツなら28カップといった量を食べなければならない。これだけのピーナッツを食べたら2万2520カロリー、そして1912グラムの脂肪を摂ることになるとワシントン大学の心臓病研 究者のチャイト博士が指摘している。通常、一般的には食物から摂れるビタミンE量はせいぜい25IUといわれている。 

まとめ

老化防止のためにビタミンEを摂るなら、食べ物だけからでは無理なことが分かった。

研究によると、 心臓発作の予防には1日最低でも100IUのビタミンが必要だという。しかし、実際のところ400IU ぐらい摂取したほうがよい。動脈硬化の前兆となるLDLコレステロールの酸化を防止するにはそれだ けの量が必要なのである。

また400冊あれば免疫力も高められる。摂り方は食事の時で、可能なら1日 2~3回に分けた方がいい。そうすることによって、血中のビタミンEレベルを一定に、しか芭高いレベ ルに保つことができる。1日800IUまでが安全と決まっているが、ビタミンEのオプティマル(最高) レベルは400IUと考えられる。

また天然か合成かという問題もあるが、生化学的に最も活性が高いのはュ-トコフェロールであるこ とは見識が一致している。αの前にdが書いてあるものが天然で、aがついている若のが合成だが、少なくとも効果的にLDLコレステロールの酸化を防ぐ作用は全く同じだということが分かっている。

その一方で、天然型ビタミンEが優れていると言う研究者もいる。

効果と生理作用

*強い抗酸化作用 *ガンの予防 *心臓発作の予防 *卒中の予防 *免疫機能の向上はベーター・カロチンの生理作用ビタミンE、ビタミンCは老化を防いでくれる。

しかし、それだけでは老化を食い止めるには最善ではない。フルーツ、野菜、またサプリメントでベーター・カロチンをたくさん摂ることで最善の老化防止となるのである。

ベーター・カロチンは、優れた抗酸化物で、他のビタミンや抗酸化物では対応しきれないところまでその抗酸化力を発揮することが明らかになっている。

ベーター・カロチンはガン、心臓病、白内障、免疫低下、要するに老化によって身体が悪くなっていくのを予防、あるいは食い止める効果を持っている。

とくに細胞の遺伝子を壊し、脂肪を酸化させ、細胞の構 造を破壊して若さを奪ってしまうフリーラジカルを、ベーター・カロチンは消滅させ、細胞を正常に保った効果に優れている。また、ベーター・カロチンは体内でビタミンAにも変換されるので、ビタミンAとしての老化防止効果、特に免疫力向上の作用もあわせ持っている。

強い抗酸化力がガンを防止

ガンを予防したいのなら、強い抗酸化力を持っているベーター・カロチンを外すことはできない。100を越える研究により、ベーター・カロチンの摂取が多く、血液中のベーター・カロチン値が高い人はガ ンにかかる率が半分以下であることが明らかになっている。

ジョン・ホプキンズ大学の研究では、血液中 のベーター・カロチン濃度の低い人は、喫煙によって肺ガンにかかる率が4倍も高いことが分かっている。

さらに、ベーター・カロチンは子宮頸部のガンの発生を阻止することができると発表している。また、ベーター・カロチンのサプリメントを大量に摂取したところ、うち50~70%の口内の前ガン症状がよく なった。腸ガンの男性患者に1日30ミリグラムのベーター・カロチンを摂取させたところ、ガンの進行活動は2週間で44%減少し、9週間では57%も減少したのである。ベーター・カロチンの摂取を止めてから 6カ月たってもガンの進行が低く抑えられていたという。

ワルター・リード軍病院メディカルセンター のJ・キケンダル博士は、これらの研究によりベータ・カロチンは化学的にガンを予防できる物質であると指摘している。

最近のオーストラリアの研究によると、乳ガンの女性でベーター・カロチンを多く摂取 した人は、少なく摂取した人に比べて2倍も生存率が高かったのである。

また、ベーター・カロチンはガ ン細胞の繁殖を防ぐという説もある。 注意すべきことはべーター・カロチンを摂ったらすぐにガンを予防できるわけではないことである。特に、長い間喫煙していた人が肺ガンにかかる危険を少なくするには、ベーター・カロチンを少なくとも 2年間は大量に摂取する必要がある。 

心疾患から防いでくれる

『ハーバード・メディカル』誌に画期的な研究成果が発表されている。

男性医師が、6年間にわたって1 日おきに30ミリグラムのベーター・カロチンのサプリメントを摂取したところ、偽薬を摂取した医師に比べて心臓発作、卒中、心臓病の発病は半分に抑えられたのである。この効果は、ベーター・カロチンを摂取 して2年たった頃にでてきている。この研究の貴任者、C・ヘンネッケン博士はベーター・カロチンが動脈に酸化LDLのプラーク(付着物)がたまるのを防止することで、こうした効果が得られているのでは、と指摘している。

また、同じ研究発表の中で、大量のベーター・カロチンを摂っていたグループは、そうでないグループ に比べて卒中の発症率が5%低かったことを報告されている。

ヨーロッパでの大規模な研究では、ベーター・カロチンを少量しか摂らない人は、多く摂る人に比べ、 心臓発作を起すリスクは5%も高いと発表している。

免疫機能が向上する 

アリゾナ大学の研究によると、ベーター・カロチンのサプリメントは免疫細胞の働きを良くする効果 があるという。

8人の男女高齢者(平均年齢昭歳) に8ミリグラムのベーター・カロチンを2カ月間、毎日 摂取させたところ、ナチュラルキラー細胞、Tヘルパー細胞が増加し、リン球の活性が高まったのである。

この研究のディレクターR・ワトソン博士によると、このような免疫細胞は、ガン、ウイルス、バクテリアによる感染から守ってくれるというのである。

さらに、タフツ大学のS・メイダニ博士の研究では、ミ リグラムのベーター・カロチンを1日おきに摂取したハーバード大学の医師らの血液中には、ナチュラ ルキラー細胞が顕著に増加していたというのである。

このナチュラルキラー細胞は、ガンを撃退する上でとても重要な役割を果すのである。

まとめ

アメリカ農務省の実験によると、野菜やフルーツからベータ・カロチンを摂るより、サプリメントでとった方が吸収がいいという。

もし、老化をより積極的に防止したいのならば、1日に10~15ミリグラムのベーター・カロチンのサプ リメントを摂取したほうがよい、と多くの研究者は語っている。

サプリメントを摂取する時は、食事と一 緒に摂ると食物中の脂肪分がベーター・カロチンの吸収を良くする。脂肪分と一緒に摂らなければサプ リメントが無駄になってしまうことを知っておいてほしい。

「ボストンにあるマサチューセッツ病院の研究によると、1日に摂る量を1回で摂るより、3回に分けて食事の際に摂ると、血液中のベーター・カロチン濃度は3倍も高くなることが分かった。

サプリメントを選ぶ時は、ラベルにビタミンAではなく、ベーター・カロチンと明記してあることを確認すること。ビ タミンAは大量に摂ると有害な場合があるからである。べーター・カロチンは副作用がなく、最活安全なビタミンの一つと考えられている。

ただし、過剰に摂りすぎると肌が黄色くなることもある。 

よりよい理解のためにビタミンE、ビタミンC、ベーター・カロチンは主要な抗酸化物で、フリーラジカルから身体を守り、どれも老化防止の効果が高い。しかし、この3つの物質が一緒に働くと、その効果はもっと高くなる。

それについてハーバード大学の研究がある。8万7000人の女性看護婦を対象に疫学的実験の結果、ビタミンEを1日2000以上サプリメントで摂っている人は心疾患にかかる率が22%下がった。そしてベーター・カロチンを大量に摂った人では20%下がり、ビタミンCを大量に摂った人では25%下がった。

ところがこの3つをすべて大量に摂取した人では心臓病のリスクが30%も下がったことが報告されている。同じような結果が卒中についても現れている。3つとも大量に摂取した場合は卒中にかかる率を% も下げた。これはどれか一つ摂取した場合よりもはるかに効果が高い。

こうした結果の理由として考えられるのは、これら3つの累積的な抗酸化作用の効果は1つだけよりもはるかに高く、その抗酸化作用により動脈硬化を防ぐことで、心臓病や卒中を予防できると考えられる。

一つ明らかなことは、これら3つの抗酸化物が共に悪玉LDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈に プラークができるのを防いでいるということである。

最近のオーストラリアでの研究によると、実験対象者に900ミリグラムのビタミンCと200ミリグラムのビタミンEとBミリグラムのベーター・カ ロチンを毎日与えたところ、3カ月たって、LDLコレステロールの酸化が始まるのを28%遅らせることができたという。6カ月が過ぎた頃、抗酸化作用はもっと高まっていた。

注目すべきは、この3つのビタミンがLDLコレステロールの酸化を連鎖的、補完的に防ぐことである。ビタミンEが力を失った時は、ベーター・カロチンがその役割を引き受ける。もし十分なビタミンC があれば、ビタミンCがビタミンEの失った力を回復させることができる。

これらの抗酸化物は3つ共 に働く時がLDLコレステロールの酸化を最も効率的に防ぐことができる。