私が子供のころ、「人の悪口を言ってはいけない」はしつけの一つでした。人の悪口を言うのは良くないことだと親から言われましたが、「なぜ」とまでは詳しく教わっていません。
なので私は、
「やたらに人を悪く言うのは相手を傷つけるので人として良くない」けれど、
本当にその相手が悪く言われて当然のことをしている人については「事実なんだから言ってもいいじゃない?」と考えていました。
要するに、よく知りもしないことで簡単に人を中傷するのはよくないが、事実だったら指摘して当然、と思っていたのです。
実際、かつての私は思ったことをストレートに口に出していたので、相手が悪いと思えばそう言ったし、環境が悪いと思えば、そう主張しました。
それで人間関係を随分壊していたのですが、そのときは、それが「悪口」だとは思っていませんでした。
悪口を言ってはいけない理由
悪口は、なぜ言ってはいけないのだと思いますか?この悪口には根拠のない中傷だけではなく、もっともな理由のある批判や非難も含めます。
普通に考えると、
「面と向かって言えば相手を傷つけるし、間接的に言っても人間関係を壊すから」
といったところでしょう。
確かにそれもその通りです。
でも、悪口を言ってはいけない本当の理由は別のところにあります。
それは、私たちの脳が「誰が」を区別できないからです。
最初にこれを聞いたとき、私は非常に衝撃を受けました。
これは脳科学で明らかにされている事実ですが、脳は「人称」を区別できないのです。つまり、相手に言ったことは自分に言ったのと同じことなのです。
たとえば、
「おまえはバカだ!」
と誰かに向かって言ったとすると、脳には「おまえはバカだ」と自分が言われたのと同じことになります。
悪口は誰を傷つける?
だからこそ、悪意をもって言った悪口ほど、言った後で嫌な気持ちになります。
あなたにも経験はありませんか?
居酒屋などで上司の悪口で盛り上がったとしても、相手に対する悪意や不満が強ければ強いほど、スッキリしたようで実はあまりスッキリしていないはずです。
人の悪口を言ってはいけない本当の理由は、実はここにあります。
悪口は言えば言うほど、その悪口の相手ではなく、自分を傷つけることになるからです。
「人を呪わば穴二つ」とはよく言ったものです。
では、相手を傷つけていると思ったところが、実際は自分を傷つけていたとして、どんな結果になるのでしょうか?
答えは簡単、
自分が幸せになれません。
ひどい悪口や人への悪意をまき散らしている人は誰からも好かれないし、信用してもらえません。
そういう人が幸せになれるでしょうか?
そこまでひどくなかったとしても、私たちはつい、心の中で「相手のせい」や「状況のせい」にして、他人や状況を悪く言ってしまいます。
実はそれが、私たちを今より「幸せな」状態にすることから遠ざけているのです。
口ぐせを変えればすべてを変えられる
こんなふうに人や周りを悪く言ってしまう(考えてしまう)くせは、口ぐせになって現れています。
普段は何気なく使っている言葉に、考え方のくせが表れているのです。
逆に言うと、口ぐせの方から意識的に変えていくと、この考え方のくせに気づき、それを変えていくことができます。
口ぐせ理論は脳科学をベースにして編み出されているのです。
考え方のくせは自分も気づかないうちに習慣になっています。
何かが起こると自動的にその考え方で反応してしまうのです。
それを変えるのは大変ですが、「口ぐせ」という目に見えるところから変えていけば、そこまでたどり着くことができます。
もしあなたが、
つい人の悪口を言ってしまう、
いつも不満があって心がもやもやしている
どうもネガティブに考えがち
と思うのだけれど、なかなか変えられない!
と思っているのなら、ぜひ口ぐせ理論を試してみてください。